GTOのブログ 『学び合い』で楽しい学校生活

福岡の小学校で『学び合い』を実践しています。

12の物語 1月

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以前私が担任した6年生のクラスで起きたことを、ある先生に物語にして頂きました。
全文はかなり長いので、一部紹介したいと思います。
 
1年前感動した出来事も、次第に薄れていきます。でも、こうやって文章にすることで、しっかり残りますね。あのクラスの仲間たち、みんな元気かなぁ。
 
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もうすぐ3学期。
 掲示物を考えたり,卒業までの行事を考えたり,でも最後に思ったのはやっぱり単純明快な一つの目標でした。
「テスト全員90点以上」
でも、もしそれが達成できなかった時、子どもたちには「ああ、できなかった」という思いを持ったまま、卒業するのではないか…。
『学び合い』は,言い訳ができません。全部このクラスの管理者である僕の責任です。
「あいつは,宿題してこないから」「授業中話聞かないからね。」とかそんな言い訳は一切できません。冬休みの間、僕はずっと、このことを考えていて、やろうか、やるまいかとずっと悩んでいました。いろいろな思いが頭をめぐるっていましたが、よし、こんな時は、やっぱりあの「スタートブック」だ。『学び合い』で困った時は、いつもこの本に戻っていたからです。本をぱらぱらとめくっていると、何度も目にしていたと思う、この言葉が改めて心に響いてきました。
 
「子どもたちを信じましょう」
 
「子どもたちを信じる」これこそ、僕が『学び合い』を通じて僕が教師として成長したことの一つだったと思いました。何度も「『学び合い』うまくいかないな」と思った時も、とにかく「子どもたちを信じる」ことを忘れずにやってこれました。そう自分を言い聞かせ,しっかりと子どもたちを見ていれば小さな変化が僕に勇気をくれたのです。時には,「これで本当に大丈夫なのか?」と思うこともありました。でも,気になって怒ってしまいそうなその子から目をそらし振り返れば,僕一人の力では到底できないことを子どもたちはやってくれていたからです。そして,いつの間にか教師である僕の想像を超えた成長を見せてくれていました。
正直,『学び合い』に出会うまでの僕は、そこまで「子どもたちを信じて」言葉をかけていなかったと思います。テクニックの信じたふりは、『学び合い』には通用しない。
 だから,考え考え考え抜き「テスト全員90点以上」を言おうと決めました。
 
終業式の校長先生のお話は,うさぎとかめのお話でした。「一年の締めくくりの時期ですからウサギのように誰かに勝ちたいと競争するのではなく,自分の目標をしっかりと持ってゴールだけを見て最後まで歩んでください。」というお話をしていただきました。教室に帰り僕は,この6年2組の目標について話しました。
「 3学期はいよいよ卒業式があるね。そして 4月からは中学生だ。1日 1日を大切にしよう!」
「そして・・・・先生は,君たちともう一度大きなことに挑戦したいと思っています。」
「それは・・・・」
「算数のテストで全員90点以上をとろう!」
不思議です。子どもたちは「そんなの無理だ。」といった顔を誰もしませんでした。自信に満ちた顔が並んでいました。僕は,きっと間違っていないと思えました。
 算数の学習初日から,めあてを書いたら、すぐに『学び合い』スタートです。僕の話す事なんて、もはやほとんどありませんでした。久しぶりの『学び合い』を楽しんでいる子や3学期のめあて「全員90点以上」を意識して気合いの入っている子や,そんな子どもたちを見ているだけで勇気と自信がわいてくるのが分かりました。いつもどおり、子どもたちの周りをぶらぶらしていいました。サワサワという気持ちのいい会話の声を聞いていればみんなが集中していることが分かります。真剣なそして寄り添いあう一人ひとりの表情をみながら歩く、最高に幸せな時間です。
 
(中略)
 
いよいよテストの日。
30分間ただ鉛筆のカツカツという音が響きました。早く終わった子たちも、何度も見直しをしています。みんなが 90点以上になるには、一人ひとりに責任がある。この責任もほどよい、緊張感になる。チームで闘っているという自覚で,早めに終わらせる子たちの小さなミスが減っていっていました。
全員がテストを回収し、僕は1枚1まい丸をつけていきました。たとえ 90点以上を目標にしても不正をするわけにはいかないので、丁寧に丸付けをしました。途中、算数が苦手だった子の答案も丸つけし、 1つだけミスがあったけど、 95点。十分理解しています。「よく頑張ったね」そんなことを心の中でつぶやきながら、最後の1人の得点をつけたところで、手が震えました。
次の算数の時間、僕は黒板の前に立ち、チョークを持つ。子どもたちはシンと静まっていまいた。
「90点以上…34人全員達成」
「わーーっ」という声があが教室に上がりました。
「すごいよ、君たちは。先生はこんなことは初めてだ!」思わず気持ちが言葉になっていました。
1人ひとり自分のテストを持って記念に写真も撮りました 。
写真を撮りながら子どもたちに声をかけました。
「次は全員 100点めざす?」
「えー!? 100点!?厳しいな~」
子どもたちから笑い声が聞こえる。
達成感にあふれた表情が、カメラの画面に映っていました。
 
それから数日後。最後の授業参観がありました。
授業の内容は「今の自分の気持ちを伝える」スピーチ発表だ。
子どもたちは自分の夢や、 6年間の思い出、自分の成長を話すことになっていました。
僕は、自由にテーマを決めて話せばいいと思っていましたが、子どもたちの多くは、『学び合い』をテーマにしていました。子どもたちはこんなことを話していました。
「私は『学び合い』で分からないことを「分からない」と素直に周りに言えるようになりました」
「私は『学び合い』で勉強が分かるようになりました。」
「僕は『学び合い』で学んだ、「気づく・気遣う・あきらめない」ことを中学校生活でも生かしたいです。」
「僕は、『学び合い』で身に付けた、困っている人に声をかける力を、大人になっても生かしたいです」
「僕は、誰にでも優しくでき、信頼される大人になりたいです。それを『学び合い』で学びました」
「 6年2 組は最強のクラスです」
子どもたち 1人1 人の言葉から、子どもたちの素直な気持ちと 1年間の成長を感じました。
 
「僕にとって『学び合い』に出会えたことはキセキです。みんなが僕を気遣ってくれました。」
 
「キセキかあ。どこからそんな言葉を思いついたんだよ。でもそうだよな。奇跡だよなあ」
彼のスピーチを聞きながら、目頭が熱くなるのを感じ、彼の「キセキ」と言う言葉の中に、1年間のすべてが詰まっているようだったからです。
 
「いやいや、まだ卒業式まで時間があるぞ。泣くのはもう少しまってから」
僕はそう、自分に語りかけました。