仮説⓪ 5年間で分かってきたこと
私が『学び合い』を始めたころは今のように関連本はほとんどなければ、相談する相手もいませんでした。だから「これは『学び合い』なのか?」といつも思いながら過ごしていました。
幸い、この時期に大きな失敗もなく、続けることができたので今があるわけですが、この時期に考えに考えぬいていたからこそ、すごく時間がかかったけれど今があると思います。
一年以上一人で取り組み続けて、はじめて実践者の話を聞いた時「ああ、これでいいんだ」と思った記憶があります。
さて、私はこの5年間『学び合い』を実践してきました。いろいろなことに挑戦し、いろいろと失敗もしてきましたが、だんだん、安定感がましてきたと思います。その安定感とは「今は、この時期」ということが分かるようになったことです。
例えば、『学び合い』をはじめて1か月くらいして、子どもたちの学習の勢いが落ちてきたときは「全員達成」することに慣れてきていると思います。そんな時は新たなミッションを与える必要があります。例えば「テストの点数全員90点以上」です。
そうすると、単に課題を達成するだけでなく、その後控えているテストにも生きる勉強をしないといけません。つまり「得点向上期」にうつるわけです。
そしてテストの点数があがってきてたら(もし全員が100点をとるようになったら特に)また新たなミッションを与えないと、学習の勢いが落ちるでしょう。
つまり、『学び合い』を続けていくためには、つねにミッションを与え続けないといけないのです。そして、子どもたちの状態に合わせたミッションを与えないといけません。
「あー、なんか最近子どもたち、おしゃべりしていたり遊んだりしているなあ。何語ろうかなあ…」と思ってあれこれ語ってもあまり浸透しない。そりゃそうです。語る教師に飽きてきているんですから。語っても語っても子どもたちの状態が変わらない時に、だんだん焦りが生まれてして、原因を他のせいにしてしまいがちだと私は思います。
しかし、語る以外に、課題を変える以外にどうすればいいの…?『学び合い』に慣れてきた4年目の時にすごく悩みました。その時に、ちょっと今までと違った課題を出してみることにしました。
「福岡市市長選挙に立候補して、選ばれるために何をすればいいか考えて、演説会をしよう」という課題です。
これは6年生の後半に行ったのですが、子どもたちはとても楽しそうに学習していました。いわゆる「味付け期」です。教科書の内容を理解することにとどまらず、子どもたちの意欲をかきたてるような課題を出します。教材研究がかなり必要ですし、毎日できるものではありません。また、これをもし一学期にやろうとしてもうまくいかなかったと思います。子どもたちの関係と学習に対する意欲が高まっていないとできない学習だからです。
そして、学年の最後にもう一度全員達成を目指す『学び合い』を行います。何のために『学び合い』を行ってきたかを語り、子どもたちにも思い出してもらって一年間を終えます。この時に次の年の話もします。
『学び合い』年間スケジュール(仮説)の概要は以上です。次回からはそれぞれの期のことを詳しく書いていこうと思います。
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