仮説① 全員達成期
『学び合い』の授業を大雑把に説明すれば、
①教師が課題を出す。(5分)
②子どもたちが自由に動き回り、それを解決する。(35分)
③教師がそれを評価する。(5分)
と言えるでしょう。
このような授業のスタイルは「アクティブラーニング」の本には時々のっています。
しかし、これ「だけ」では『学び合い』ではありません。
これに「全員達成」という課題を付け加えてはじめて『学び合い』になります。
自分の課題だけでなく、周り、クラス全体が課題を達成することを目指す。
それは自分の課題を達成するよりももっと、ハードルの高いことです。
そして、この「全員達成」を目指すことが「一人も見捨てない」ことを目指すことでもあります。『学び合い』は「一人も見捨てない」子ども集団を育てていく教育です。
(厳密には違うとは思いますが、今回はこう説明します)
「一人も見捨てない」という言葉に抵抗がある人も多いです。
私も最初この言葉を使えませんでした。おそらくそれが自分の中で腑に落ちていなかったからだと思います。
だんだん、『学び合い』を続けていくうちにそれがどういうことなのか、少しずつ分かるようになり、「ああ、結局これは教科書の内容を通じて、よりよい集団をきづいていくことなのか」と分からないなりに始めた5年前の私も気づきました。
さて、「全員達成」というのは、子どもたちの中にはなかった視点だと思います。
それはそうでしょう。授業の中で気にするのは主に自分。広くても隣とか小グループ内。それでも隣の子ができるようになることまで考えていないことも多いと思います。
そこに「全員達成」という感覚を子どもたちに理解してもらう。
それはしかも自分にとって「得」でないといけない。
『学び合い』を長続きさせていくためには子どもたちの中に「全員達成」の感覚を持たせ、「全員達成」を求める集団になっていくことが必要です。
だからまずは、「全員達成」を目指す集団にしていく「全員達成期」が必要です。