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「感謝」のバーゲンセール

「感謝」という言葉を聞くことが多くなったな、と思います。

 

芸能人、スポーツ選手、企業・・・様々な人たちが「感謝」を口にします。地下鉄に乗っているとパチンコ店の広告に「感謝」の文字が。

街を歩いていると「お客様感謝デー」とある。

 

感謝、感謝、感謝・・・

 

みんな「感謝」ばっかり。

そんなに「感謝」したいの?

そんなに「感謝」しているの?

 

先日テレビを見ていたら、スポーツに励む高校生がインタビューを受けている中で、

「支えてくれた人たちに感謝の気持ちを持ってプレーします」と言っていました。

 

いったい誰のためにプレーしているのだろう・・・「自分たちのため」って言ったらいけないのかな。

 

年始の番組で、小学生が、「親に感謝する一年間にします」と言っていました。

 

親に感謝。

でも、本当にそう思っているのだろうか。

そう言えば、喜んでもらえると思っているのではないか。

 

「感謝」という言葉があまりにも増えすぎて、その言葉を聞くたびに「キナ臭さ」を感じます。だいたい「感謝」なんて、そんな簡単にできることじゃないと思うし、感謝感謝言っておきながら感謝の言葉や態度を本当に表しているか疑問です。たいていの人は自分のことしか考えてないでしょ、って思います。

 

このバーゲンセールともいえる「感謝」

学校でもよく聞くようになりました。

全校集会や卒業式などで校長をはじめとした、

全体に話す人が「感謝」の言葉をよく使うようになったと思います。でも私はひねくれているので、そういう言葉を聞くたびに「どうやって感謝の気持ちをあらわすんだろうね」なんて思ってしまいます。

 

確かに、「感謝」の言葉をもらえたら嬉しいですよ。子どもたちのために一生懸命仕事して、授業して、クラスをつくって「ありがとうございました」とか「先生のおかげで」とか言われたらやっぱり嬉しい。手がかかった子が最後に「お世話になりました」という一言があったら「まあいいか」と思います。以前の学校から異動する時もたくさんの手紙をもらってすごく嬉しかったです。

 

でも、そんな「感謝」をもらうためにやっているわけじゃないし、してほしいと思っていません。あればラッキーくらいにしか思ってません。子どもたちのために、が仕事ですから。感謝のためにやってません。

 

明日は道徳の教科書を使って学習をします。事前に題材を読んだら、「感謝」がテーマのようです。しかも偏った。もう道徳の教科書にはうんざりですが、この題材をどういかすかは教師次第ですね。

 

感謝の気持ちが薄れているから、授業で扱うのか。感謝の気持ちを教えるべきだから、授業で教えるのか。

 

いろいろ考えます。

 

感謝感謝と言っているわりに、感謝の言葉も気持ちもなくなっているのでしょうか。もしくは「感謝」の言葉だけ一人歩きして、実は本当の感謝の気持ちが薄れてしまっているのでしょうか。はっきりしたことはわかりません。

 

通信表をもらうときは一言「ありがとうございました」って言うといいよ。

何かをしてもらう時は「お願いします」「ありがとうございます」って言うんだよ。何かの折に「お世話になりました」って言うといいよ。

 

そんなことまで言わないといけないのか、と思うこともありますが、人とよりよい関係を築くために、「感謝」の言葉を使うことを教えています。でもバーゲンセールをするつもりはありません。

 

明日は「感謝」を疑った授業をしようと思います。