先生。学校をどんなところにしたいのですか。
以前、ある先輩からこんなことを聞かれました。
「先生。あなたは学校を(子どもにとって)どんなところにしたいのですか」
私は、こう答えました。
「学校が楽しいところであってほしい」
「楽しい」といっても子どもによって様々ですが、十数年学校の教員をしてきて、子どもたちが「学校が楽しい」と感じるのは以下のようなことではないかと考えています。
・友達がいる
・ほどよくつながれる仲間がいる
・勉強がまあまあ分かる
・やりがいのある好きなことがある
・給食がおいしい
・先生が明るい
「それだけ?」と思う方もいるかもしれませんが、案外こんなところではないかと思います。
もちろん、子どもたちの多くが「学校が楽しい」と思えるためには、一朝一夕ではできません。誰かがしていることと同じことをすれば、うまくいくものでもありません。子ども集団の状態を見極めながら、必要な言葉かけと取り組みを粘り強く行っていく。時間のかかる作業だと思います。
小難しいことをしたり、よかれと思ってあれこれするよりも、上に挙げたようなことを大事にした方が、子どもたちに浸透しやすいのではないかと考えています。子どもたちの問題行動の原因が「友達とうまくいかない」「勉強がわからない」で、「勉強がわかる」「ほどよくつながれる仲間がいる」ことで落ちついていくことは今まで何度もありました。
昨年度担任していた子たち。それぞれ新しいクラス、新しい環境で学校生活を送っています。私は遠くからその様子を見守っています。ある日の放課後、ある子から声をかけられて外に出てみると、私が担任していた子たち数名がワイワイやっています。みんな今のクラスはバラバラなのに、放課後集まって遊んでいるようです。
まだ新しい環境に慣れていないのか、元のクラスが恋しいのか分かりませんが、「いい仲間」になったのかなと思います。私が昨年度、ずっと取り組んできたことです。
私は昨年度「学校を楽しいところにするかどうかは君たち次第だよ」を何度も話しました。
「おにTだからー」「『学び合い』だからー」と言いたくなるのは分かるけど、それはいつまでも続かない。どんな先生、どんな環境になっても子どもたち自身が自分の人生(学校生活)をよりよくしていくことが、僕が願い続けてきたことです。
良くも悪くも、人間は時間とともに環境に馴染んできます。僕が願ったことや、僕が担任をしていた時のことは薄れていくでしょう。どんな環境であっても子どもたちが「学校は楽しいところ」と思えるよう、後方から支えていくのが今の僕の仕事。
自分にできることを模索し続けていきたいです。