スキルアップを教えるのはもういい
ずいぶん前に『学び合い』の学習会で「企画もの」をやることに抵抗感があるという方に話を聞いたことがあるけど、今になってその気持ちがわかるような気がしてきた。
ICT活用の仕事をしていて、人前で話をする機会が増えたわけど、最近になって、いや最初からか「企画もの」「スキルアップもの」をやるのは本心ではなかった。
「スキルアップもの」の構成は簡単。
「方法を伝えて、それを実際に経験する」だけだ。でもそこには難しさもあって、参加者側のスキルに差があると、同じペースで進むことができない。一番遅い人のペースに合わせないといけないから、ある程度スキルのある方にとっては、退屈な時間になる。一方レベルを少しあげた内容を行うと、とたんについてこれない人が出てくる。まさに一斉授業で起こる典型パターンだ。
僕はその状態が耐えられないから、『学び合い』に移行した部分もあるんだけど、また同じことをやろうとしているんだから、モヤモヤしてきても仕方がない。
「企画もの」「スキルアップもの」をやるのが本心ではないのは、「結局、受け身」「結局スキル」ということ。
誰かが準備したコンテンツを受けて、満足するという消費者的スタンス。スキルだけ得て、
哲学も理念もない、ただの技術屋。はたして、教師がそんな態度でいいのか。
自ら学ぼうとし、自ら得ようとすれば、そんなものは誰かに与えられなくても得られるはず。それよりも、顔を合わせ、答えのない問いに対して、対話を通じて向かっていく方がずっといいと思う。
結局はスキルよりも、どうしたいか。
自分は何ができるのか。
もっと大きなくくりでいえば、どんな子どもを育てるのか。そして今、学校で何ができるのか。資質能力ベースの学びに変わったということはそういうことを突き詰めていくということではないか、と思う。
この感覚がわかるまでずいぶん時間がかかった。今後は与えられた仕事でなければ、スキルアップものは積極的にしようとは思わないし、あったとしても、スキルアップの内容に理念を入れたい。目指す方向性をいれたい。
そんなふうに思います。