教員不足の解決策とは、まさかの
とある書籍で、著名な方がこのように述べていました。
教員(教師)不足の解決策は
ビデオ授業の導入
だと。
ほお、こりゃまた色々ツッコミどころ満載の回答ですね。
私、ホリエモンさん好きで、本を読んだり、動画を観たりしています。ニュースで取り上げられている話題を解説している動画は、新たな視点を与えてくれますし本は自分の生き方を見直す機会になるからです。
私なんかよりも多くの人脈と経験とスキルをお持ちの方だと思うのですが、この本で紹介されていた「教師不足」の解決策があまりにもレベルが低くて驚いてしまいました。もしかしたらその他の項目についても、専門にしている方からすれば「何言ってんだ」と思われる内容かもしれません。「ホリエモンが言っているから」という発想にならず、自分で調べ、自分の頭で考えられるようになるべきだなと思いました。
さて、ホリエモンさんが述べている「教師不足の解決策はビデオ授業だ」ということについて、私なりに意見を書きたいと思います。
1、教師不足ではなく「講師不足」
今、全国の学校が困っている「教師不足」最近ではテレビなどの報道で取り上げられています。今一番の課題は、正規の教員もですが「期限付き教員」「講師の教員」の不足でしょう。学校にいれば当たり前のことなのですが、意外とこのことを知らない方って多いと思います。
産休・育休を取ります。
分かりました。でも、代わりがいません。
こんなことが多くの学校で起こっているはずです。本来、産休・育休の代替は「期限付き教員」「講師の教員」が補充されることによって行われますが、この教員がいない。つい数年前までは代替の話がこなくて仕事がないということもあったくらいなのに、今では期限つき教員はゼロ。
結局、産休・育休を取る教員の数の方が多くなり、かわりがおらず、教頭のような本来担任をすることがない教員まで担任をすることになっているのです。ですから「ビデオ授業」の前に、代わりの教師がいないことが今一番の課題ということです。これは学校の教員なら口を揃えて「そうだ」と言うと思います。
2.ビデオでは代替できないものばかり
小学校に限らないと思いますが、一番顕著だと思いますので、小学校を例に説明したいと思います。もし、担任の先生が産休・育休に入ることになり、仕方ないから、普段担任をしない先生に入ってもらうことになったとします。もしかしたら、ビデオ授業で、一部の授業をカバーすることができるかもしれませんが、それ以外の業務はビデオでは代替できません。
朝の健康観察
子どもの体調管理
子ども同士の関係
保護者との連携
音楽、体育、図工など「動き」のある授業
このような担任の教員が行う仕事は多々あります。それはビデオで代替することができないものです。もちろん、上でのべたようにビデオで教員の仕事を減らすことはできても、根本的な解決にはなりません。
3.ビデオ以前の問題。ビデオでは解決できない問題。
ビデオ授業は教員不足の解決策にならないことをここまで述べてきました。ここでは、ビデオ授業の是非についてここでは述べたいと思います。
そもそも、勉強しない子どもはビデオ授業でも学びません。それがどんなに質が高くてもです。その理由はいくつかあります。
・ビデオを一日中見ていても飽きる
・ビデオを見てもよくわからない
・ビデオを見ようともしない
ホリエモンさんの本では、授業が下手な教師の授業を受けるより、教えるのが上手な教師のビデオの方がいいと指摘していました。確かに、同じ授業内容を一般の教師が授業するより、ビデオの方が知識を伝達する上ではいいでしょう。しかし「授業」というのはそう単純なものではありません。教師が子どもの反応を見ながら、即座に質問や指示を変えたり、途中で励ましたり、周りの子たちと話し合ったり・・・その場その場によって変わるものです。
ビデオを見た方が理解できる子もいるでしょう。ただ、そのような子もすべての授業がビデオでよいはずありません。友達と一緒に学ぶこと、一緒に考えたり、調べたり、試したりすることの方が楽しいものです。ビデオの授業は選択肢としての一つとしてはいいですが、メインにはならないはずです。
ただ、教師の方も気をつけなければいけないのが、ビデオ授業と同類の授業をしていては、子どもたちはビデオ授業を選択するでしょう。分からない子は分からないままだし、つまらない子はつまらないままです。
まとめ
ここまで、ビデオ授業が教員不足の解決策にはならないということを述べてきました。ホリエモンさんはなぜビデオ授業について書いたのか分かりませんが、その他の項目は「なるほど」と思うものが多いはずです。興味がある方は是非読んでほしいなと思います。
教員不足の解決策は何なのかというと、これまた話が長くなるので、今回は控えておきますが、一つだけ言えるのが「マジでなんとかしないとやばい」ということです。