漢字指導に力を入れる教師
「自分は、漢字指導に力を入れた教師だったな」
そんなことをこの本を読んで思い起こしました。
この本で紹介していることはとても頷けることばかりで、私も同じように考え、実践していました。たとえば、漢字を丁寧に書くことを徹底させていました。漢字を書く時に「1ミリもはみ出さないように書く」と子どもたちに伝え「はみ出たらすべてやり直しね」と笑いながら伝えていました。
こうすることで、多くの子どもたちは漢字を書くことに、じっくり取り組むようになり字がきれいになり、保護者から感謝されることもありました。子どもは成長し、保護者からは感謝される、その経験が私自身に「しっかり指導している」という自信につながったと思います。漢字指導は僕にとって教師としてのやりがいの一つでした。
しかし、ある年を境にだんだん漢字指導の力をゆるめていきました。それはクラスの中にどうしても漢字をきれいに書けない子、覚えられない子がいたからです。色々試しましたが、おそらく識字や書くことに困難を抱えている子だったのでしょう。後から専門の方に話を聞いて確信しました。
そういう子たちは、僕が漢字指導を厳しくすればするほど、自信をなくしていくと感じました。「自信をなくしてまで、漢字を覚える必要があるのか」「漢字はある程度読めて、書ければいいんじゃないか」と思うようになり、漢字指導の力をゆるめました。
ゆるめたといっても、適当にするのではなく、子どもたちがそれぞれ自分に合った方法で学べばいいと考えるようになったということです。できる子はどんどんやればいいし、漢字を覚える、書くことが困難な子には、そんなにプレッシャーをかけない。
ただやはりそれでは、一部の子たちは手を抜くようになったと感じました。
子どもたちが一生懸命になって、成長した姿を過去に見てきているがゆえに、それは悩ましいものでした。指導に力を入れるのか、子どもたちに任せるのか、いっそのこと漢字指導に力を入れないのかそんなことを考えながら過ごしていました。
結論は出てはいないのですが、「漢字指導法」を読んで自分が今まで試行錯誤して取り組んできた指導法を見直して、改良してやってみる。それでも識字や書くことに困難がある子は受け入れる、というスタンスでまたやってみたいなと思いました。
この本に「漢字学習は語彙の学習です」と言っていることにとても刺激を受けました。その通りだなと思います。言葉を知ること、言葉を使えるようになることは、人が成長していくことだと思います。
ああ、あと1ヶ月したら結論は出ています。
不安半分、楽しみ半分です。